OUR STORY
スウェットやTシャツは、もっとも庶民に近いアートだ。コットンキャンバスに張り付いたグラフィックにじっと目を凝らせば、そこにはそれらが作られた時代の空気が凝縮されていることに気づく。さまざまな出来事や価値観が、スウェットという極めて身近なアイテムの上に、アートとして表現されているのである。とくに70~80年代のアメリカ製スウェットは、遊び心あふれるユニークなグラフィックのオンパレードだ。ファッションアイテムではなく、企業のコマーシャルを目的としたアドバタイジングやノベルティ、チームグッズ等、気を衒わずに生み出されたスウェットは、数十年経った今、色褪せや型崩れもひっくるめ、強烈にファッショナブルに映る。
この想定外の格好良さこそ、ヴィンテージの奥深い魅力なのである。ところが古ければ古いほど価値があるという視点ではなく、現代にその佇まいの持つ雰囲気やディテールを、新たな価値観で提案するブランドが誕生した。
和歌山の熟練工によって編み立てられたコットン100%の裏毛は、表糸をGR6(薄色)、中糸をGR7(濃色)にすることで、ブランドが目指した究極の杢色を表現しました。中糸は、逆撚りの糸にすることで斜行を抑えています。フライスは、裏毛の重量に負けないよう編機に対して極限まで度目を詰め、それによって生まれるフライスの重量感も特徴です。
もう1つの特徴は、裏毛の杢色と色目をあわせるために、あえてリブを目盲縞で編んでいること。ルーペで拡大すると1コースずつ交互に色を変えていることが確認できます。約900グラムという高オンスでありながら裏地がパイルなので、季節を問わず愛用できる心地良さを体験できます。
岐阜の縫製工場にて希少なJUKI製2本針ミシンを使い、終始2本針の振りミシンで両サイドを縫製しています。肩や身頃は勿論、パンツの両サイドの縫製も一番強度が高いとされる本縫いをしてからの2本跨ぎ縫いをするなど、強度も万全です。古き良きアメリカの雰囲気を醸すため、ウエストは別布(切り返し)ではなく地続きで2つ折りにしてロックで叩いた仕様を踏襲。
超高品質の織りタグは配色にもこだわり「PANTONE® / 659 C」「PANTONE® / 200
C」を採用しています。フードやパンツのドローストリングにも手を抜かず、あえて褪色した風合いを表現するためオリジナルのアクリル混レースを採用するなど、細部にまでこだわりが満載です。
奇をてらわずに本質にこだわったデザインは、緻密なパターン修正を重ねて、長い年月をかけてサンプルを何十回も試作。その成果として究極のスウェットが完成しました。
例えばフードを被っても突っ張らない、どこか懐かしいシルエットや、リブで裾がほんの少し締まるシルエットなど、80年代に大量生産されたポリエステルボディのスウェットをソースとしながら、最高級の素材や縫製をいかし現代のカタチにアップデートしています。パンツも右側のみコインポケットを採用するなど、ツウも唸るディテールやパターンシルエットを随所に盛り込んでいます。